Version 24.3
Release Notes原文
当ページは原文の意訳となっております。
1. 新機能について
NVIDIA HPC SDK 24.3へようこそ。NVIDIA HPC SDKは、CPU、GPU、インターコネクトといったHPCプラットフォーム全体のプログラム開発を可能にするコンパイラとライブラリの包括的パッケージです。HPC SDK 24.3のリリースは、新機能および重要な機能性やパフォーマンスの向上を含みます。
- HPCコンパイラは、
-gpu=unified
オプションを実装し、OpenMP Targetオフロードに対してもGrace Hopperスーパーチップを使うシステムのコヒーレントメモリをサポートします。-gpu=unified
オプションは、HMMドライバを伴うx86_64システムにおいてもOpenACC、C++、Fortran Standard Parallelismと、OpenMPと共に動作します。より詳しい情報についてはドキュメントをご覧ください。 - コヒーレントメモリをサポートするシステム上で
-gpu=unified
と組み合わせてCUDA Fortranアプリケーションを利用するために、unified
attributeが実装されました。 - Arm 64-bitアーキテクチャに最適化された必須の数学ライブラリを提供するNVIDIA Performance Libraries (NVPL)は、HPC SDKに統合されました。詳細は、NVIDIA Performance Librariesをご覧ください。
2. リリースに含まれる各コンポーネントのバージョン
各コンポーネントについて、バージョン番号が記載されております。
各バージョンについて詳細を確認したい場合は原文の表をご確認ください。
3. サポートされるプラットフォーム
3.1. プラットフォーム要件
Linuxディストリビューション、gcc/glibcの最低バージョン、CUDAドライバの最低バージョンが記載されております。
詳細は原文の表をご確認ください。
3.2. サポートされるCUDA Toolkitのバージョン
NVIDIA HPC SDKは、NVIDIA GPUを用いたプログラムをビルドする場合にCUDA Toolchainの機能を使用します。すべてのNVIDIA HPC SDKは、必要なCUDAコンポーネントをインストールディレクトリにインストールします。インストール先のパスは [install-prefix]/[arch]/[nvhpc-version]/cuda
です。
GPU用にコンパイルされたプログラムを実行するためには、GPU搭載システムにNVIDIA CUDA GPUデバイスドライバのインストールが必要です。
NVIDIA HPC SDKにはCUDAドライバは含まれませんので、適切なCUDAドライバをNVIDIAからダウンロードする必要があります。
システムにインストールされたCUDAドライバのバージョンを確認するためにnvaccelinfo
コマンドが利用できます。
NVIDIA HPC SDK 24.3は以下のtoolchainを含みます。
- CUDA 11.8
- CUDA 12.3
4. 制限事項
- NVPL FFTはオリジナルのスレッドアフィニティマスクを尊重します。OpenMPランタイムと共にビルドされたアプリケーションに対して、(
OMP_PROC_BIND
かOMP_PLACES
のどちらか一方を通じた)スレッドアフィニティの制御は、マルチスレッド性能に悪影響を及ぼす可能性があります。性能改善のため、利用者はその2つのOpenMP環境変数の設定を解除するか、OMP_PROC_BINDをfalseに設定することが推奨されます。さらなるNVPLに関連した既知の問題は、NVPL documentation内に記述されています。 - comm_libs/mpi/binのMPIラッパーは、CUDAドライバーを自動的に検出し、comm_libs/X.Yから一致するMPI ライブラリを選択します。完全なMPI ディレクトリ階層 (例えば、bin、include、lib) が必要なアプリケーション、または srun 経由で起動されるアプリケーションは、インストールされているCUDAドライバーのバージョンに応じて、nvhpc-hpcx-cuda11 あるいは nvhpc-hpcx-cuda12 の environmentモジュールをロードして、MPI ラッパーをバイパスする必要があります。
- Fortranサブプログラムへの内部手続きの実引数としての受け渡しは、仮引数がインターフェイスブロックや手続き仮引数として宣言された場合、nvfortranによってサポートされます。nvfortranは、外部で宣言された仮引数へ、内部手続きを実引数として受け渡すことをサポートしません。
- nvfortranは、Fortran2003標準の最大7次元の配列(Fortran2008は標準の最大次元を15に引き上げた)のみをサポートします。この制限は、CヘッダーファイルISO_Fortran_binding.h内の標準的なCFI_MAX_RANKマクロの中で定義されます。
- Fortran 2018 Standard内の「15.5.2.4 Ordinary dummy variables」の章、constraint C1540とNote 5において、実引数または対応する仮引数がASYNCHRONOUS/VOLATILE属性を持ち、かつ仮引数がVALUE属性を持たないという条件では、Fortranコンパイラにcopy-in/copy-outの引数受け渡しの回避を認めます。この性質は、nvfortran内のBIND(C)インターフェイス(すなわち、Cを呼び出すFortran)で完全にサポートされます。asynchronous/volatile属性のcopy-in/copy-out回避は、他の場合ではnvfortranで利用できない可能性があります。
- MKLバージョン2023.1.0を使用するHaswellやBroadwell上で、OpenMPスレッド数が4以上の特定のワークロードの実行時に、一部のアプリケーションで不具合が発生する可能性があります。その問題はMKLバージョン2023.2.0で解決されました。
- cuSolverMpは、HPC-Xディレクトリ内のUCCとUCXライブラリの2つの新たな依存関係を持ちます。cuSolverMpを利用するプログラムを実行する場合、HPC-Xライブラリを含む
nvhpc-hpcx-cuda 11
environment moduleをご利用ください。または、環境変数LD_LIBRARY_PATHを以下のように設定してください。$ LD_LIBRARY_PATH=${NVHPCSDK_HOME}/comm_libs/hpcx/latest/ucc/lib:${NVHPCSDK_HOME}/comm_libs/11.8/hpcx/latest/ucx/lib:$LD_LIBRARY_PATH - HPC-Xを利用するためには、提供された環境モジュールファイルをご利用ください。または、hpcx-init.shスクリプトの実行にご注意ください:
$ . ${NVHPCSDK_HOME}/comm_libs/X.Y/hpcx/latest/hpcx-init.sh
その後、hpcx_loadを実行してください。
$ hpcx_loadこれらの作業により、HPC-Xを利用するために必要な重要な環境変数が設定されます。
また、もしMPIジョブを実行中にHPC-Xの以下の警告メッセージが表示された場合には、性能が低下するかもしれませんが、実行は継続され警告のみです。
WARNING: Open MPI tried to bind a process but failed.
これは既知の問題で、以下のように対処することができます。$ export OMPI_MCA_hwloc_base_binding_policy="" - HPC-Xは、2.17.1バージョン時点で、ストリームで順序付けられCUDAでアロケートされたメモリの性能最適なサポートしません。実用の観点から、それは次のことを意味します:通信データが
cudaMallocAsync
関数や類似の関数と共にアロケートされる時、MPIコールMPI_Send
とMPI_Recv
のようなIPCが、スループットを非常に劣化させることがあります。この制限は、将来リリースされるHPC-Xで削除される予定です。 - sourced allocationまたはallocatable assignmentで利用される、サイズが0の派生タイプallocatable componentを持つFortran派生タイプオブジェクトは、セグメント違反が発生する可能性があります。
- C++の並列アルゴリズムを高速化するために
-stdpar
を利用する場合、アルゴリズムの呼び出しは、仮想関数呼び出しや、関数ポインタによる関数呼び出し、C++例外を含むことができません。ランダムアクセスイテレータを利用する必要があります(通常のポインタをイテレータとするのが最善です)。Unified memoryが無効な場合、アルゴリズムの呼び出しは、ヒープを指すデリファレンスポインタのみを利用できます。詳細はc++ parallel algorithms documentationを参照ください。
5. 廃止事項
- HPC SDKにおいて、Power CPUアーキテクチャのサポートが中止になりました。
- nvc++、nvcc、および nvfortran の
-Mllvm
コマンドラインオプションは、サポートされなくなりました。 - ANSIモード(例えば、
-std=c++17
や-std=c99
)の場合、GNU拡張マクロlinux
とunix
は定義されなくなりました。コードがANSIモードでコンパイルされ、かつこれらのマクロに依存する場合は、ANSI準拠マクロ__linux__
や__unix__
を使う必要があります。 - Arm (aarch64)のみ:
nvfortranバージョン23.9では、Fortran複素関数のcalling/return手順を、GNUのgfortranの規約と合致するように変更します。23.9以前では、関数は「隠れた」ポインタを最初のパラメータとして使い、stackを通して複素数値を返しました。現在は、浮動小数点レジスターを通して、gfortranの規約に従って複素数値が返されます。NVIDIA HPC SDK のArmの全ライブラリは“gfortran’’の方法に従うようにアップデートされました。Armのパフォーマンスライブラリを利用する場合、“arm’’バージョンの代わりに“gcc’’バージョンを使う必要があります。Armシステムでnvfortranを使う場合、複素数型を利用するすべてのFortranコードは、ライブラリを含め、再コンパイルする必要があります。 - CUDA Fortran textureのサポートはCUDA 11.0と11.8で非推奨となり、CUDA 12で削除されました。23.9のリリースは、CUDA Fortran textureのサポートを含むHPCコンパイラの最後のバージョンです。
- OpenMPI 3ライブラリは、今後のリリースでHPC SDKから削除される予定です。
-Minfo=intensity
オプションはサポートされなくなりました。CUDA_HOME
環境変数はHPCコンパイラに無視されます。NVHPC_CUDA_HOME
を利用してください。- HPCコンパイラ23.3から
-Mipa
オプションが無効になりました。 - HPCコンパイラの
-ta=tesla
,-Mcuda
,-Mcudalib
オプションは非推奨となりました。 - アップストリームのend-of-life (EOL)に合わせて、RHEL 7ベースのオペレーティングシステムのサポートは、HPC SDK 24.9で削除される予定です。
- NVIDIA HPC SDKの23.11 から、CUDA 11.8 と CUDA 12.x シリーズの最新バージョンのみがバンドルされています。11.0 より古い CUDA バージョンをサポートする HPC コンパイラ内のコードパスは検査や保守管理されなくなりました。
- アップストリームのend-of-life (EOL)に合わせて、HPC SDK 23.5ではUbuntu 18.04のサポートは削除されました。
- CUDA Fortranの
cudaDeviceSynchronize()
は非推奨となり、デバイスコードから削除されました。ホストコード内ではまだサポートされます。 - NVIDIA HPC SDK 21.5から、NVC++とNVFORTRANの
-cuda
オプションは、NVIDIA GPU数学ライブラリを自動的にリンクしません。-cudalib
オプションを参照ください。 - NVIDIA HPC SDK 21.3から、NVIDIA GPUのKeplerアーキテクチャのHPCコンパイラサポートが廃止されました。