2003年のHPC(その四)

「平成の語り部」小柳義夫です。電子ジャーナルHPCwire Japan https://www.hpcwire.jp/
に連載中の『新HPCの歩み』は、2003年に入っています。先週(f)と今週(g)の記事をご紹介します。「日本・アメリカ以外の政府関係の動き」「世界の学界の動き」「国際会議」です。

アメリカのグリッドはコンピュータ科学研究者が前面に出ていますが、ヨーロッパではCERNに代表される現実の科学技術研究の実用的利用が引っ張っています。

インドの「地球シミュレータ」ともいうべきPARAM Padmaが正式披露されました。インド初のテラフロップスマシンです。私は、昨年末に現地で見てきました。ノードは4-way POWER4 SMPで、自主開発のネットワークで接続したシステムです。

アルプスの麓の中世のままの都市Annecyで行われたCAS2K3 Workshopで、地球シミュレータのようなベクトルコンピュータと、POWERのMPPとが、実際の科学技術計算でどう違うかが議論されました。

アメリカのバージニア工科大学では、教員、技官、学生が力を合わせて1100台のPowerMac G5をMelanox Infiniband 4xで接続してLinpackを走らせ、なんとTop500で3位に入りました。愛称はBig Mac。

今年はvon NeumannおよびAtanasoffの生誕100年で、それぞれ記念行事が行われました。

Gordon Moore氏は、第50回記念のISSCCにおいて基調講演「指数的進歩は永遠に続くというものではないが、進歩はまだ続く」を行い、いわゆるMooreの法則について「今後10年は生き続ける」と述べました。ただし成長率が鈍化する可能性も示唆しました。

GlobusWORLDやPRAGMAやCCGridなどグリッド関連の会議が増えて来ています。

4年毎開催のICIAM(応用数理国際会議)がシドニーで開催され、わたしも参加しました。Industrialを標榜する割には、産業界の話題が少ないという印象でした。

日本で二回目となるLattice 2003がつくばで開催されました。

このあとは、ISC2003(Heidelberg)やSC2003(Phoenix)の話題が続きます。

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本連載では、HPCwire(英語版)の元記事を多数リンクしています。是非ご覧ください。9月19日~26日に、このサイトにセキュアでないリンクがあるとSecurity Softwareから全面ブロックされていましたが、現在は回復しています。

小柳義夫