2008年のHPC(その三)

「平成の語り部」小柳義夫です。電子ジャーナルHPCwire Japan https://www.hpcwire.jp/
に連載中の『新HPCの歩み』は、2008年の日本の動きを報じています。先週の2008年(d) (第265回)では「日本の学界の動き」を、今週の2008年(e) (第266回)では「国内会議」(その一)を書いています。

次世代スーパーコンピュータ開発の格子QCDアプリケーションに関する2006年からの活動をベースに、素粒子・原子核・天文宇宙分野の研究者が、分野を越えて結集し、技術や情報を共有する環境を整えることで基礎科学を大きく発展させることを見ざして「計算基礎科学コンソーシアム」が2008年5月に発足しました。代表は宇川彰筑波大副学長。2009年の事業仕分けではいち早く緊急声明を発表しました。実質的な活動は翌2009年2月に発足した計算基礎科学連携拠点JICFuSに次第に移行したようですが、詳細は不明。

神戸大学は、九州大学、金沢大学、愛媛大学と共同して大学院GP (Good Practice) 「大学連合による計算科学の最先端人材育成」を始めるとともに、大学院「シミュレーション科学研究科(仮称)」の新設を企画しました。大学院が学生を受け入れたのは2010年からです。その直前には事業仕分けがあり、神戸にスーパーコンピュータができなくなるところでした。

次世代スーパーコンピュータ開発の始動もあってHPCや計算科学関連の様々な国内会議が開催されました。ほぼ日付順に紹介しています。手元やWeb上にあるプログラムはできるだけ載せたので、かなり量が多くなりました。講演者にしても、講演のタイトルにしても見てみると思い出が深いと思います。現在、開催者のWebに残っていないものも多いので、あえて載せました。

特筆すべきなのは、3月26日に「パラメトロン計算機 PC-1 50周年」記念会が開催されたことです。東大の小宮山総長や情報処理学会会長が冒頭にあいさつされました。会議の様子については、故田隅三生先生が、ブログ(http://sapiarc.web.fc2.com/Essay/2008/2008-03.pdf)に書いておられます。当日配られた資料「パラメトロン計算機PC-1 1958 – 2008」は大変貴重な資料ですが、幸いWeb(https://www.iijlab.net/~ew/pc1/pc150th.pdf)で公開されています。故石田晴久氏の記事によると、後藤先生の軽井沢の別荘に研究室が泊まり込んでPC-2の設計をしていたとき、後藤先生の知り合いの正田美智子さん(現上皇后陛下)が訪ねてこられ、「PC-2ができたら拝見したいわ」とおっしゃったとのことです。実現はしませんでした。2008年11月には結婚内定の発表で大騒ぎとなりました。

次回は、2008年(f)「国内会議」(その二)です。

既発表記事の総目次はhttps://www.hpcwire.jp/new50history
にあります。ご愛読を感謝します。