1999年のHPC(その四)

1999年のHPC(その四)

二十世紀の語り部小柳義夫です。電子ジャーナルHPCwire Japan https://www.hpcwire.jp/
に掲載中の『新HPCの歩み』は、すでに1999年に入っています。先週11月27日および本日12月4日の記事をご紹介します。先週は国際会議一般、今週はSC99のその一です。

私自身も参加した2月の第2回Petaflops会議(Santa Barbara)は非常に印象的でした。このままでは日本が取り残されるという危惧を感じました。

現在所属しているRISTは、ハワイ州立大学東西交流センターを会場に“International Workshop on Next Generation Climate Models in the Advanced Computing Facilities”を開催しました。2002年に完成予定の「地球シミュレータ」をにらんでのWSです。

6月10日に発表された第13回目のTop500リストでは、1位にはPentium IIに差し替えたASCI Redが、2位にASCI Blue Mountain (LANL)が、8位にASCI Blue Pacific CTR (LLNL)が揃いました。でもASCI Blueたちはまだ本調子とは思えません。日本設置では東大のSR8000/128が4位に、産総研のSR8000/64が12位に入ります。

樋渡保秋教授(金沢大学理学部)の尽力により第5回のICCP(計算物理国際会議)を日本に招致し、10月金沢で開催しました。その後、アメリカ物理学会とヨーロッパ物理学会が共同して開催しているCCPと合流します。

StarFireのユーザ会とも言うべきSUPerGが10月オーストラリアのシドニーで開催され、わたしも参加しました。HPCよりビジネス利用の方が主流でした。

オレゴン州Portlandで開催されたSC99には参加できませんでしたが、多くの方のレポートから会議の様子を紹介します。

招待講演において、Dona Crawford (SNL)は、「ASCIでは数年後に100 Teraflops級のマシンの導入が予定されており、100 Gbit/secのWANが必要である」と述べました。またAndrew A. Chien (UCSD)は、LinuxではなくWindows NTを搭載したsuper clusterの重要性を強調しました。

さて、次回はSC99のその二で、パネル、BoF、Top500などです。

ご愛読を感謝します。総目次はhttps://www.hpcwire.jp/new50historyです。

小柳義夫