グリーン高度計算科学賞の紹介
電子情報通信学会の集積回路研究専門委員会は、「グリーン高度計算科学賞」規
定(https://www.ieice.org/~icd/award/regulation_GreenHPC_prize.html)を
定め、高度計算科学において顕著な業績を上げた個人またはグループを表彰する
ことになりました。
https://www.ieice.org/~icd/award/doc/CallForApps_1st_GreenHPC_prize.pdf
高度計算科学分野においては、LINPACKの実行性能を競うTOP500、その電力性能
を競うGreen TOP500、実用計算の実行性能を競うGorden Bell賞などが存在しま
す。しかし、前者二つはLINPACK性能で評価するので、実用的な意味合いが薄く、
ソフト的な工夫の余地も少なく、低精度計算が陽には考慮されていません。また、
Gorden Bell賞は大規模な世界でトップクラスのスーパコンを使わないと応募で
きないので、個人もしくは小さなグループが挑戦するにはハードルが高くなりす
ぎるなどの問題が指摘されています。
そこで、「グリーン高度計算科学賞」においては、実用計算に限って、電力あた
りの性能を評価し、最近特に重要になってきた低精度計算も陽に考慮することに
しました。電力性能を評価することにより、小規模なハードウェアでも応募可能
にし、低精度計算の場合の演算数を評価することにします。さらに、用いるハー
ドウェアにもソフトウェアにも制限を設けません。これらことによって、応募者
のアイデアと努力により独創的な計算手法を開拓した個人またはグループを顕彰
したいと考えております。
本賞の運営にあたるため、グリーン高度計算科学賞選考小委員会が2021年1月に
発足しました。2022年の公募については、以下のスケジュールで進めます。
公募開始 3月21日
公募締切 6月21日
表彰候補者公表 7月21日ごろ
結果発表 8月下旬から9月初旬ごろ
表彰候補者は、例年8月下旬から9月上旬で行われる集積回路研究専門委員会主催
のアクセラレーション技術発表討論会において講演していただき、その場で結果
発表と表彰式を行う所存です。
応募者は規定に定める応募書類を委員長の戎崎あて
ebisu@riken.jp
まで送付ください
なお、これらの準備の一環として、2021年9月に行われた第15回アクセラレーター
技術発表討論会において、上記の基準で試験的にコンテストを実施しました。参
加者は6人でした。厳正な審査の結果、筑波大学の吉川耕司氏(筑波大学 計算科
学研究センター)が課題名:ブラソフシミュレーションを用いた宇宙大規模構造
形成におけるニュートリノの数値シミュレーションで0.19Gflops/Wの記録で一位
となりましたので、第0回グリーン高度計算科学賞を差し上げました。応募者の
参考になるよう、吉川さんには事後、応募書類例を作成していただきました。そ
れは、当研究会HP(https://www.ieice.org/~icd/award/doc/eg_app.pdf)に掲
示してありますので、応募者の参考にしてください。
2022年3月10日
グリーン高度計算科学賞選考小委員会
岩崎 裕江(東北大学)
戎崎俊一(理化学研究所:委員長)
姫野龍太郎(順天堂大学)
廣瀬哲也(大阪大学)
牧野淳一郎(神戸大学)