2001年のHPC(その五)
2001年のHPC(その五)
「平成の語り部」小柳義夫です。電子ジャーナルHPCwire Japan https://www.hpcwire.jp/
に掲載中の『新HPCの歩み』は、すでに2001年の後半に入っております。先週(g)と今週 (h)の記事は、同時多発テロのわずか2か月後にDenverで開催されたSC2001です。DenverにもミニWorld Trade Centerがあり、ちゃんとツインタワーになっていたので驚きました。
今年はテロの影響もあって、参加者は例年より若干少ないのではないかという感じでした。Technical Program参加者2017名、Exhibit onlyを含めて5277名の参加ということです。日本からの参加者は3割減というところでしょうか。
Grid技術のひとつであるAccess Gridを使って、SC2001のいくつかのセッションを「アンカレッジから南極まで」の世界中32か所に中継していました。リモートから発言もできます。今ならZoom等で当たり前ですが。
基調講演では、Craig Venterがヒトゲノム解析にHPCが重要な役割を果たしていることを強調しました。Jim GrayはSloan Digital Sky Surveyを例に、データグリッドの意義を述べました。
Top500ではいよいよ日本の影が薄くなっています。20位以内は、東大、阪大、高エネルギー研だけです。
Gordon Bell賞は、Grape-6の研究が5回目の入賞です。MDMの方は最終選考まで残っていましたが、受賞は逃しました。
印象的だったのは、Petaflops、ASCIそしてHPFの話が全く消えていたことです。ASCIやPetaflopsはすでに日常になってしまったようです。
最終日(金曜)にはいくつかパネル討論がありましたが、老人が言いたいことを言うというパネルがあり、まるで「抵抗勢力、全員集合」でした。200人を超す大盛況でした。わたしも老人として頑張ってメモを取りました。詳しく報告します。
なお、sc2001.orgのweb pageは現在すべてリンク切れですが、リンクは残してあります。
さて、次回は最終回「2001年(i)」で、国外の企業の動きです。HP社のFiolina CEOは、創業家の反対を押し切り、DEC社の遺伝子を持つCompaq社を買収します。
総目次はhttps://www.hpcwire.jp/new50historyです。ご愛読を感謝します。
小柳義夫