2003年のHPC(その二)

「平成の語り部」小柳義夫です。電子ジャーナルHPCwire Japan https://www.hpcwire.jp/
に連載中の『新HPCの歩み』は、本日「第200回」を迎えました。ご愛読に感謝します。先週と今週の記事をご紹介します。「日本の政府関係の動き(続き)」「日本の大学センター等」「日本の学界の動き」「国内会議」です。

通算4回目となるJapan-US Computational Science Roundtableがハワイ島のKonaで開催され、日米の関係者が、ビッグサイエンスに埋もれそうな計算科学とそれに必要な計算資源をどう確保するかについて議論しました。佐藤哲也地球シミュレータセンター長からは、資源の一部を国際協力に拠出するとのコメントがありました。

日本のJSTでの広い意味の計算科学関係のプロジェクトとしては、「ACT-JST」「シミュレーション技術の革新と実用化基盤の構築」「情報社会を支える新しい高性能情報処理技術」「科研費特定領域(C)」などが走っています。

新世紀重点研究創生プラン(RR2002)の「eサイエンス」実現プロジェクトの一環として、大阪大学では「バイオグリッド・プロジェクト」が始まりました。翌年、特定非営利法人「バイオグリッドセンター関西」となりましたが、先日2024年5月25日に解散しました。一部リンクが切れています。

文部科学省が実施している「eサイエンス」計画に基づいて、北海道大学大型計算機センターでは、SGI社製 Onyx 300をグリッドコンピューティング専用機として設置し運用に入りました。

京都大学学術情報メディアセンターは、ベクトルコンピュータVPP800のリプレースとして、スカラSMPクラスタ型のスーパーコンピュータを導入しました。

産業技術総合研究所の建部修見らが開発した広域ファイルシステムGfarmは、2003年11月25日、version 1.0を正式に公開しました。

東工大の松岡研究室はVoltaire社のInfiniBandを用いたPCクラスタPresto IIIを構築しました。日本での大規模InfiniBandクラスタは初めてです。

第2回に当たるHPCS2003が日本科学未来館で開催されました。HOKKE 2003は、JSTのイノベーションプラザ北海道で開催されました。16回目となるSWoPP松江2003は松江テルサで開催されました。

これまでのJSPP(1989年~2002年)に代わって2003年から新しいシンポジウム SACSIS (Symposium on Advanced Computing Systems and Infrastructures) が学術総合センター会議場で開催されました。「国際化」の議論が結論を得ず、2015年からはACSI、2017年からはxSIGとなっています。

次回は、日本の企業の動き、標準化、ネットワーク、性能評価などです。富士通はPRIMEPOWER HPC2500を、日立はSR110000を、日本電気はSX-6の改良版を発売します。

総目次はhttps://www.hpcwire.jp/new50historyにあります。ご愛読を感謝します。

小柳義夫