2004年のHPC(その一)
「平成の語り部」小柳義夫です。電子ジャーナルHPCwire Japan https://www.hpcwire.jp/
に連載中の『新HPCの歩み』は、本日2004年の連載が始まりました。社会の動き、次世代スーパーコンピュータ計画、地球シミュレー タです。今号は、先週アトランタで開催されたSC24の最中に校正を行いました。
「社会の動き」はHPCとは直性関係ありませんが、わたしなりにリキを入れて書いています。HPCの動きとの共時性をお楽しみください。
ペタスケールの「次世代スーパーコンピュータ計画」(後の京コンピュータ開発)への動きがやっと見えてきました。最大の問題は、2001年9月21日に総合科学技術会議の情報通信分野研究開発推進戦略において、「スーパーコンピュータは必要な分野で個別に努力す ればよく、国家戦略としては開発しない」と結論づけていることでした。これを覆して、国家基幹技術として開発するという方向転換に大きな役割を果たしたものの一つは、筑波大学の「岩崎文書」でした。
「スーパーコンピュータ推進議員連盟」ができ、次年度予算に「将来のスーパーコンピューティングのための要素技術の研究開発プロジェクト」が概算要求されます。やっと動きが始まりました。
2002年に完成し運用開始した地球シミュレータは、どんどん利用が進み、産業への利用も始まります。
次回はこれ以外の日本政府の動きです。「科学技術・学術審議会」は「国として戦略的に推進すべき基幹技術」の一つに「ペタ・フロップス級のスーパーコンピュータを開発と、必要なソフトウェアの開発」を挙げました。国立大学と大学共同利用機関が法人化されます。昨年発足したNAREGIは、シンポジウムで成果を公開します。ITBLは中間評価が行われます。AISTは、Itanium 2、Opteron、Xeonなどを搭載した大規模クラスタを構築します、などなど。
総目次はhttps://www.hpcwire.jp/new50historyにあります。ご愛読を感謝します。
小柳義夫