2007年のHPC(その七)

「平成の語り部」小柳義夫です。電子ジャーナルHPCwire Japan https://www.hpcwire.jp/
に連載中の『新HPCの歩み』は、本日2007年の記述を終了します。先週の「新HPCの歩み(第260回)-2007年(m)-」、本日の「新HPCの歩み(第261回)-2007年(n)-」をご紹介します。「アメリカ企業の動き」「その他の企業」「企業の終焉」です。

Cray社は好調でXT4を多数売り出すとともに、ベクトル、マルチスレッド、FPGAのすべての技術をCray XT5 familyに統合すると発表しました。X1Eまでは単独機でしたが、X2は付加システムとなりました。Top500にX2は出てきません。

IBM社はPOWER6を予告しました。マルチメディア処理のためのAltiVec命令セットや、ベクトル演算器のように動かすViVA-2は想定内でしたが、十進演算をハードでサポートするというので驚きました。事務用メインフレームを作る気か?

同社はまたBlue Gene/Pを正式発表し、フル構成ではピーク3 PFlopsを実現すると述べました。実現したのは、ANLのIntrepidの0.5 PFlopsでした。

IBM社の3本目の柱であるCell B.E.では、PPEとSPEの浮動小数演算器を64 bitに変更し、メモリコントローラの性能も向上させたPowerXCell 8iを発表しました。これを搭載したCell Blade Server QS22は2008年に発売され、Roadrunnerに搭載されます。

Intel社はCoreマイクロアーキテクチャの後継であるNehalemマイクロアーキテクチャのプロセッサ2機を搭載した試作機を展示しました。

Itaniumも、dual coreがやっと発表されました。サーバ市場に乗り出せるのか。

これらと並行してIntel社は、“Terascale Computing Project”の詳細を明らかにしました。Larrabeeは単精度であるが、1チップでTFlopsのピーク性能があるとのふれ込みです。後で述べるように、LarrabeeはSC09の基調講演で派手なデモを行った直後、商品化断念を発表します。

Intel社の半導体テクノロジの進歩は著しく、45nmから32nmへと向かいます。

他方AMD社は、quad-core Opteronの量産が2007年の第4四半期にずれ込むことになり、Intel社の追撃を受けています。AMDとIntel両社の立場が逆転したようです。

同社は、前年ATI社を買収しましたが、その技術でGPUを汎用コンピューティングに展開していくと発表しました。

Sun Microsystems社はこれまでAMD社のプロセッサを使ってきたが、Intel社とも提携し、Xeonを搭載しSolarisをOSとしたサーバを開発します。

NVIDIA社はGeForce 8 (G8x)アーキテクチャのTeslaを発表し、HPCを直接に目指すことを発表しました。Intel社はLarrabeeで、NVIDIA社はTeslaとCUDAで、AMD社はStreaming Computingで。HPCに参入します。

D-Wave社はカナダですが、SC07でデモを行ったことはすでに書きました。実は、2月にマウンテンビューのコンピュータ歴史博物館でデモを行っていました。これを知っていれば、SC07で驚かなかったかもしれません。

Top500で述べたように、Tata GroupのEKA(HP社製)で4位に登場し、びっくりしました。

ドイツのParsytec社が静かに舞台から去りました。

次回は、2008年です。リーマンショックで多くのビッグネームが退場します。発行は1月13日を予定しています。

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にあります。ご愛読を感謝します。

小柳義夫