2008年のHPC(その七)

HPC関係者の皆様

「平成の語り部」小柳義夫です。電子ジャーナルHPCwire Japan https://www.hpcwire.jp/
に連載中の『新HPCの歩み』は、2008年の終わりに近づいています。先週の2008年(ℓ) (第273 回)と、今週の2008年(m) (第274 回)を紹介します。2回にわたってSC08(テキサス州Austin)について書いています。目玉はアクセラレータとエクサフロップスでした。

今回は20年目、21回の記念の会議で、歴史展示が行われた他、全21回参加した24人に「皆勤メダル」が授与されました。日本からの参加者では三浦謙一氏のみでした。歴史展示に地球シミュレータが抜けていたと書きましたが、斉藤貴之氏のレポートによれば、GRAPE-6とともに出ていたそうです。

この年、6月のISC08で。RoadrunnerがRmaxで1 PFlops超えを達成し、今回のSC08ではJaguarも加わりましたが、今度はエクサスケールを目指す次世代ソフトウェアの開発のために、IESPが提案され、WSでキックオフが宣言されました。主唱者はPete Beckman (ANL), Paul Messina (ANL), Jack Dongarra (Tennessee/ORNL)などです。

企業展示で驚いたのは、筑波大のブースの近くにConvey Computer社という新企業が出ていたことでした。これはConvexの創始者であるSteve Wallachらが2006年に立ち上げたそうで、語尾のxをyに変えた社名です。XilinxのFPGAをコプロセッサとしてXeonと組み合わせたものを展示していました。Wallachは本年、Seymour Cray賞を受賞しました。

今回のTop500では、JaguarがPFlops入りしたほか、上海のMagic Cube(魔方)が11位に登場しました。QC Opteronを搭載したDawning 5000Aです。日本のマシンは20位以内にはないのに、中国はすごい躍進です。日本の最上位はT2K東大の28位で、全体でもたった17件でした。日本どうした?!

Green500の3回目のリストが発表されましたが、上位はCell B.E.とBlue Gene/P(いずれもIBM)のオンパレードで面白くありません。

Sidney Fernbach Memorial Awardは、「MPIの創出における顕著な貢献」に対してBill Groppに贈られました。

Gordon Bell賞は日本からはfinalistsにさえ一つも入りませんでした。Topで28位ですから。

次回の2008年(n) (第273回)は「アメリカ企業の動き」(その一)です。

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小柳義夫