2008年のHPC(その八)

HPC関係者の皆様

「平成の語り部」小柳義夫です。電子ジャーナルHPCwire Japan https://www.hpcwire.jp/
に連載中の『新HPCの歩み』は、本日公開の分で2008年が終わりました。先週の2008年(n) (第275 回)と、今週の2008年(o) (第276 回)を紹介します。アメリカ企業の動き、ヨーロッパ企業の動き、カナダ企業の動き、企業の創立、企業の終焉です。

Cray社は順調です。AMD Opteronを搭載したXT5は、Top500の上位にズラーッと並んでいます。ORNLのJaguarとTennessee大のKrakenは、ORNLの計算機室に隣り合わせで置かれています。

Intel社のXeonを搭載したCray CX1もエントリーレベルのマシンとして発表されました。居室に設置可能でWindows HPC Serverでも動きます。でもCray社はこれまで小型機では成功していません。

IBMでは、POWER6を搭載したサーバとともに、Cell B.E.を搭載したマシンもいくつか登場しています。でも将来計画はあるのか? この年、Stretch (IBM 7030)誕生50周年の祝祭が行われました。商業的には成功とは言えませんが、開発した技術をS/360などの汎用機で活用して大成功を収めました。

Itaniumに足を取られたのか、AMD社に先を越されていたIntel社が、やっとquad-core Xeonで逆転しました。最初は2つのdual-coreチップをパッケージするという安全策をとりました。他方AMD社は、Barcelonaチップの発売が遅れただけでなく、発売早々バグが発見されました。こちらはATI買収に足を取られていたのではという見方もあります。

Itaniumもquad-coreになりましたが、ダイサイズ700平方mm、電力170Wと巨大です。Oracle社がItanium上のソフト開発を続けるというので、HP社はIntel社に〇億ドルを払ったのに、Oracle社が開発を止めると言い出し訴訟騒ぎです。

AMD社はカナダのATI Technologies社を買収してGPUビジネスに乗り出しました。倍精度もフル実装していると豪語。NVIDIAももちろん倍精度のサポートに向かっています。NVIDIAのCUDAに対抗して、Brook+という開発言語を提供しています。

NVIDIA社は、GeGorce、Quadro、Teslaの3本の製品ラインを持つことになりました。伝統的なHPC応用を目指しているのはTeslaです。倍精度サポートを発表しますが、単精度に比べて1桁遅い。AMD社との競争は熾烈です。

SGI社はLinux Networx社を買収しましたが、経営は大丈夫でしょうか?

John Gustafson氏は、ClearSpeed社を辞して、MPT社のCEOに任命されました。でも11か月でまた転出します。ClearSpeed社も翌年には上場廃止となります。

次回の2009年は、リーマンショックの嵐が吹き荒れ、多くの企業が吸収・廃業となるとともに、日本の次世代スーパーコンピュータ計画が「ニ番じゃダメでしょうか?」で存亡の危機を迎えます。連休後の5月11日から連載する予定です。

既発表記事の総目次はhttps://www.hpcwire.jp/new50history
にあります。ご愛読を感謝します。

小柳義夫

前の記事

2008年のHPC(その七)