HPC関係者の皆様<br>
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「平成の語り部」小柳義夫です。電子ジャーナルHPCwire Japan https://www.hpcwire.jp/<br>
に連載中の『新HPCの歩み』は、すでに2009年に入っております。2009年(b)(第278回)と2009年(c)(第279回)は、次世代スーパーコンピュータ開発の山場で、予算100億円の積み増しから、事業仕分けであやうく中止になるところまでです。<br>
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議論の場は、情報科学技術委員会のもとに出来た次世代スーパーコンピュータプロジェクト中間評価作業部会(以下WG。委員長土居範久)です。私も委員の一人でした。<br>
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総合科学技術会議で定められたこのプロジェクトの目標は、「Linpackで10 PFlopsを実現する」「2011年6月のTop500でトップを取る」となっていました。しかし、第1回会議での理研の説明では、Linpackで10 PFlopsを実現するのは2012年6月であり、2011年6月にはスカラ部は5 PFlopsを予定しているとのことでした。5 PFlopsでTopが取れるか、大議論になりました。アメリカには、Blue Waters があり、SequoiaがありCascadeがあるので、これらすべてが同時にこけないと今の計画では一瞬でも世界一になれないことになります。(結果的にはどれも計画が遅れました)<br>
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そこで、4月22日の第3回WGでは、婉曲的な表現でしたが、ベクトルとの複合システムを止める可能性を再検討するよう理研に求めました。ところが、再検討の結果が示されないうちに、5月13日、日本電気が次世代スーパーコンピュータ開発から撤退する方針を明らかにしたのです。<br>
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5月25日の第4回WGにおいて、理研は、スカラ部の単独構成とし、予定を6か月早めて、2011年11月までに10 PFlopsを達成する計画が示されました。ただし、CPUの製造能力を上げるために予算を100億積み増す必要があります。私は、「到達性能が同じで、半年早くして世界一になる可能性を上げるためだけに100億欲しい」という案は筋が悪く、文科省も拒否するだろうと思っていましたが、意外にもこの案が決定されました。<br>
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8月30日、衆議院議員総選挙があり、民主党が308議席を占め、9月16日、鳩山内閣が成立しました。民主党は多くの公約を掲げていましたが、財源を詰めていなかったので、事業仕分けにより無駄を省いて予算をひねり出すことになりました。次世代スーパーコンピュータ計画もその恰好の標的になりました。<br>
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11月13日(金)の仕分けでは、この「世界一」が問題になりました。これは、総合科学技術会議での事前評価で承認された目標ですが、もちろんそのこと自体が目的ではなく、世界一の計算資源により学術的社会的問題を解決し、世界一の成果を上げるためです。通常、事前評価で承認された目標は、達成できたかどうかが問われるもので、途中で「その目標はなぜだ」と問われることはありません。理研や文部科学省の側は不意を突かれ、十分な返答ができませんでした。<br>
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その結果、行政刷新会議では、事実上の凍結が結論されました。<br>
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研究者やその団体は、直ちにこれを批判する声明や、プロジェクトを復活する要望書を出しました。また、文部科学省の関係者とも協力して、これを覆すべく動き始めます。理研の野依理事長(当時)は、「将来、歴史の法廷に立つ覚悟ができているのか問いたい」と批判しました。<br>
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その中から「クラウド型スーパーコンピューティング基盤」というアイデアが出てきます。<br>
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次回(d)では、凍結されかかった次世代スーパーコンピュータ計画が「革新的ハイパフォーマンス・コンピューティング・インフラ(HPCI)の構築計画」という形で復活します。<br>
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前信で、国立国会図書館のWARPにアーカイブされる資料のURLの途中にhttp://が含まれるようになり、Wordでリンクするとき不都合が生じると申し上げましたが、WARP担当者から、URLの途中のhttp://を除去してもリンクできることを教えていいただきました。<br>
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既発表記事の総目次はhttps://www.hpcwire.jp/new50history<br>
にあります。ご愛読を感謝します。<br>
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小柳義夫<br>