2009年のHPC(その六)
HPC関係者の皆様
「平成の語り部」小柳義夫です。電子ジャーナルHPCwire Japan https://www.hpcwire.jp/
に連載中の『新HPCの歩み』は、2009年の後半に入りました。先週の2009年(j)(第286回)は「アメリカ政府の動き」「ヨーロッパの政府関係の動き」「中国の動き」、今週の2009年(k)(第287回)は、「世界の学界の動き」「国際会議(その一)」です。
2009年1月20日に大統領に就任したオバマ大統領は、米国科学アカデミーの年次総会で演説し、研究開発、とくに基礎研究への投資が重要であると指摘しました。すぐに役に立たない基礎研究が軽視される日本との違いを痛感しましたが、最近は風向きが変わっているようです。
LLNLは、2011年から、20 PFlopsのBlue Gene/Qを、核兵器の老朽化をコンピュータでサポートするために設置すると発表しました。プロセッサは計算ノード16コアを搭載しているようです。さて「京」コンピュータはその前に一位を取れるか?
他方、Illionois大学NCSAのBlue Watersについて、「2001年宇宙の旅」に出て来るHAL9000スーパーコンピュータ(というか人工知能)の実現だという記事が出ました。これも「京」の強敵です。
TeraGridを引っ張って来たFrancine Bermanは、2001年からSDSCの所長を務めてきましたが、8月付で辞任しThe Rensselaer Polytechnic Instituteの副学長となりました。
ヨーロッパでは、FZJ (Jülich研究センター)の外部評価委員を委嘱され、3月に現地での会議に参加しました。エクサスケールに向けてIBM一社だけと共同研究するというので、私はもっと広い観点で考えた方がよい、と発言しました。往きは成田空港が閉鎖になり、帰りはドイツ国鉄が停電となり、ガタガタしました。5月にはFZJでJUGENE (Blue Gene/P)が稼働します。
中国では2009年から国立スーパーコンピュータセンター(国家超級計算中心)が始まりました。2009年には天津と深圳です。上海はこれより前の2000年創立ですが、国ではなく、主として上海市が資金を出しました。
第8回目(年1回)となるChina HPC Top100 2009が発表されましたが、今や、半数近くが中国の会社の製造です。でも、まだCPUはアメリカ製を使っています。
世界での大きな動きはIESP (International Exascale Software Project)が始まったことです。2009年中は、Santa Fe, Paris, Tsukubaで開催された他、SC09でもBOFを開きました。
Jim Grayは2007年ヨットで行方不明になりましたが死後出版された記念論文集 “The Fourth Paradigm: Data-Intensive Scientific Discovery” (2009) において「データ科学(data-intensive science)」を、「第4の科学」として提示しました。
10回目となるHPC Asia 2009が、台湾の高雄で開催されました。HPC Asia 2018が2018年1月に秋葉原で開催されるまで、これが最後のHPC Asiaでした。
次回は、「国際会議(その二)」です。
既発表記事の総目次はhttps://www.hpcwire.jp/new50history
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小柳義夫

