2000年のHPC(その五)
二十世紀の語り部小柳義夫です。電子ジャーナルHPCwire Japan https://www.hpcwire.jp/
に掲載中の『新HPCの歩み』は、2000年の最終回になりました。二十世紀も終わるので次回からは「平成の語り部」を名乗ります。今週の記事をご紹介します。日本以外の企業の動きです。64ビットプロセッサが混戦状態です。
2000年の初頭からIntel社とAMD社は1GHzのチップをめぐって競争しています。Intel社はItaniumの詳細を公表しますが、まだ量産体制には入りません。AMD社はOpteronという名前を発表します。
IBM社はPOWER4チップの詳細を発表するとともに、謎の超並列BlueGeneについて錯綜した情報が流れます。
Tera Computer社は、SGIのCray部門を買収するとともに、自社の社名をCrayに変更します。ビジネスは順調です。
SGI社はR12000を搭載したOrigin 3000を発表します。
Sun Microsystems社は、Solaris 8を発表しますが、ライセンス料を無料化し、顧客にはソースコードも提供して、Linuxに対抗します。プロセッサではUltraSPARC IIIを発売します。
Microsoft社の反トラスト法訴訟では、同社をOSの会社とアプリの会社に二分割せよとの命令が裁判所から出ます。果たしてAT&T以来の大分割となるか?
中国で、検索エンジンの百度 (Baidu)が創立されます。
先週土曜日、TSMCの熊本第一工場の建物が竣工しましたが、TSMCの創業(1987)の事情については、https://www.hpcwire.jp/archives/57946
に一言書きました。なぜ、日本ではできなかったのでしょう。先ですが、2002年の記事には、日本でも
「2002年7月5日、半導体メーカ11社が計18.5億円を出資し、国費315億円を投入して、ASPLA (Advanced SoC Platform Corporation、先端SoC基盤技術開発)を千代田区に設立した。」という記事を予定しています。歴史は繰り返すのか?
さて、次回は「2001年」に入ります。「地球シミュレータ」の筐体が年内に設置されます。総目次はhttps://www.hpcwire.jp/new50historyです。ご愛読を感謝します。
小柳義夫