1982 年のHPC

HPC界のみなさま

 電子ジャーナルHPCwire Japan  https://www.hpcwire.jp/
に掲載中の『新HPCの歩み』は1982年に入りました。今日まで3回に分けて掲載しています。いよいよ日本でも本格的なベクトルスーパーコンピュータが富士通と日立から発表されました。アメリカでもCray X-MP/2が発表されました。
 Courant InstituteのPeter Lax教授の委員会は、「スパコンは国立研究所にはあるが、大学にはない。大学の研究者がスパコンを使えないと遅れてしまう」と警告しました。政府はこの勧告を受け入れ、1985~86年にNSFスーパーコンピュータセンターが5か所設置されますが、その主力は超並列に向かいます。イギリスでは、超並列のためのTransputerが開発され、並列言語OCCAMが開発中と伝えられました。
 他方日本では、既報のPAXを始め、EVLISとか、LINKS-1とか、HYPHEN C16とか大学での研究は盛んでしたが、「アムダールの法則があって高並列計算機は実用にならない」とか、「並列型のスーパーコンピュータには加担しない」というような考え方が主流で、主要メーカは高並列機に見向きもしませんでした。
 この年、Sun Microsystems、Compaq Computer社、Convex Computer社、Silicon Graphics社などが創立されました。いずれも後のビッグネームですが、現在残っている会社はありません。
 ご笑覧ください。

小柳義夫