1998年のHPC(その一)

HPC界のみなさま

二十世紀の語り部小柳義夫です。電子ジャーナルHPCwire Japan https://www.hpcwire.jp/
に掲載中の『新HPCの歩み』は、1997年分の終了後お盆休みをいただいておりましたが、本日1998年分の連載を始めました。7回掲載の予定です。ご笑覧に感謝します。今週の記事を紹介します。

ACMとIEEE/CSが共同して運営するEckert-Mauchly Awardは、「多重ベクトルパイプラインとプログラム可能なベクトルキャッシュをもつスーパーコンピュータのアーキテクチャ設計」への寄与に対して、日本電気のSXシリーズの設計者である渡辺貞氏に授与されました。政治での日本たたきへの逆張りという意味もあったのかと思います。

地球シミュレータの開発中核機関として動燃が抜け、原研が加わりました。日本電気は、ピーク32 TFlops以上のスーパーコンピュータを開発すると正式に発表しました。私が座長を務めた中間評価委員会において、いろいろ意見は出しましたが、開発OKと結論しました。

JSTは、日本で初めての(分野を問わない)計算科学技術の応募制研究プロジェクトACT-JSTを始めました。その課題の中には、現在のHPCIの研究課題につながるものも、またデータ科学につながるものもあります。委員長は土居範久氏。

学術振興会未来開拓事業「計算科学」は、第1回計算科学シンポジウムを開催します。

期間10年の後半に入ったRWCP(新情報処理開発機構)では、PCクラスタの実用化に進みます。このころMyrinetやQuadricsなど高速な相互接続網が出てきます。

来週は1998年(b)で、日本の大学センターの動き、学界の動き、国内会議(Hokke、INSAM、JSPP、SWoPPなど)です。各社の主宰する研究会/シンポジウムも盛んです。ご笑覧ください。総目次は https://www.hpcwire.jp/new50history です。

小柳義夫